格付けを決める2つのポイント
企業から融資の申し込みがあったとき、銀行が融資を行うか否か、行う場合はどの程度の金利を設定するか?その判断基準となるのが「金融検査マニュアル」に基づいた企業の格付けです。
・定量的評価:決算書の分析結果をもとに、安全性・収益性・成長性・返済能力等を評価
・定性的評価:経営者の姿勢など、数値化できない評価です。
定性的評価はあくまで救済的・補完的役割であり、メインは定量的評価です。経営方針や従業員がどれだけ素晴らしくても、財務内容が悪ければ格付けは上がりません。
各金融機関の格付け基準は非公開ですが、次の⑩程度に振り分けられることが多いようです。
- リスクなし:財務内容が優れており、債務履行の確実性は極めて高い水準にある。
- ほとんどリスクなし:財務内容が良好で、財務履行の確実性は高い水準にある。ただし事業環境等が大きく変化した場合には、その確実性が低下する可能性がある。
- リスク些少:財務内容は一応良好で、債務履行の確実性は十分にある。ただし事業環境等が変化した場合には、その事実性が低下する可能性がある。
- リスクはあるが良好水準:財務内容は一応良好で、債務履行の確実性は認められる。ただし事業環境等が変化した場合はその影響を受けて、確実性が低下する懸念がやや大きい。
- リスクはあるが平均的水準:債務履行の確実性は当面問題ないが、事業環境等が変化した場合はその影響を受けて、履行能力が損なわれる要素が見受けられる。
- リスクはやや高いが許容範囲内:債務履行の確実性は現在において問題ないが、業務や財務内容に不安な要素があり、事業環境が変化すれば履行能力が損なわれる可能性があるため、事業推移に注意を要する。
- リスクが高く管理徹底:業況低調または不安定、財務内容に問題があり、債務の履行に支障をきたす懸念が大きい。
- 警戒先:事務内容に重大な問題があり、債務の履行状況に問題が発生しているかそれに近い状態。今後、経営破綻に陥る可能性が認められる。
- 延滞先:経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗が芳しくなく、今後経営破綻に陥る可能性が高い。
- 事故先:深刻な経営難の状態にあり、実質的な破綻状態に陥っている。また法的・形式的な破綻の事実が発生している。
そしてこの格付けをベースに決定されるのが債権者区分です。
- 正常先:業績が良好であり、かつ財産内容にも問題がない債務者。
- 要注意先・要管理先:貸出条件に問題がある、債務履行状況に問題がある、業況が低調、財産内容に問題がある等の債務者。
- 破綻懸念先:経営難の状況にあり、経営改善計画などの進捗状況が芳しくなく、今後経営破綻に陥る可能性が大きい債務者。
- 実質破綻先:深刻な経営難の状況にあり、再建の見通しがない状況で、実質的に経営破綻に陥っている債務者。
- 破綻先:法的・形式的な経営破綻の事実が発生している債務者。
自社の格付けおよび債務者区分を上げるためには、評価のもとになる定量的評価と定性的評価を向上させなければいけません。
定量的評価を向上させる最大のポイントは「自己資本比率を増やす」ことです。
自己資本比率…「総資本」のな中で「自己資本」が占めている割合のこと。
他人資本は、返さなければいけないお金になりますが、自己資産は自社の資本ですから返さなくていい
お金です。返さなくてもいいお金が多ければ多いほど、資金繰りに余裕があり、
経営が安定している強い会社と評価されます。
また会社の格付けが高くても、融資を断られる場合があります。原因は事業主にあります。
理由としては事業主の借金力=信用力が落ちているからです。
毎月の携帯電話の支払い、これを1度でも滞納したことがある人は、信用力が落ちています。
クレジットカードの支払いや、引き落とし口座の残高が不足していただけでも、
支払不能になったという事実は残っています。
このような個人の信用情報は全て「CIC(割賦販売法・貸金業法指定信用情報機構)」に
データとして残ります。
過去に何らかのクレジット払いを滞納した覚えのある人は、必ずCICのサイトにアクセスして、
自分の信用力がどうなっているか確認しておきましょう。