実はこれがあるだけで「×」印なんです!!
決算書の中には「それが計上されているだけで銀行側がマイナス評価を下す」という恐ろしい項目があります。
税理士が税金対策のために行ったちょっとした「工夫」が、融資を受けられなくなるというケース…
これは珍しくないんです。
決算書に対する価値観は、税理士と銀行では大きなズレがあります。
顧問税理士が「これで大丈夫!」と太鼓判を押したとしても、必ず自分の目で次の5つの項目を確認しておきましょう。
【貸付金】:貸付金とは、所定の期日に返済してもらう約束で貸した資金のことです。
これは銀行が最も嫌う勘定科目のため、絶対に計上してはいけません。
どうしても他の勘定科目で処理できない場合は、銀行に対して①貸付先との関連性、②貸し付けた資金の使途、③返済条件等について、詳しく説明しましょう。
ただし貸付金が毎年同じ金額で計上されていれば、どのような説明をしても、銀行は「返済されない不良債権である」とみなし、自己資本から貸付金の金額分を減額して評価します。
自己資本が減額されると格付けが下がり、金利が上がってしまいます。
なぜ貸付金がこんなにも嫌われるのか?
それはこの勘定科目が、粉飾決算に使われやすいからです。
たとえば事業と関係ない接待費や、使途が不明瞭うな支出を処理するとき、さらには費用として処理されるべき支出を、貸付金という「資産」として計上することで会社の利益をその金額分だけ大きく見せるという方法にも使われます。
また、銀行が本事業のために貸したお金が、事業とは無関係のとろで使用されることにより、会社が不当な利益を得たり、無用な損害を発生させたりしているのでは?と疑いを持たれてしまいます。
銀行がズルが嫌いです!!約束を破ることはもっと嫌います!!
貸付金は絶対に計上してはいけません。
【仮払金】:仮払いとは、後に精算する目的で先払いしたお金のことです。
例えば急に地方の顧客のもとへ商品の修理に出向かなければいけなくなり、社員に10万円を渡し送り出しました。その10万円は戻ってきてから精算するよう指示を出しました。
社員に支払った10万円は、精算されるまで経費として確定できません。
そのため、とりあえず流動資産として計上されます。これが仮払金です。
必ず経費として損金処理をされるものであるため、資産として計上されていても、資産価値はなし。
所が決算書を黒字にするために、精算の必要性がないものを仮払金にしたり、意図的に精算せずに資産として計上したままにしておいたり、使途不明金を仮払金にするというケースがあるため、銀行にとっては「疑わしい勘定科目」です。
実際に仮払いの必要があって計上せざるを得なかった場合は、備考欄に経緯を記載しておき、さらに直接銀行に説明して、疑いを完全に晴らしておきましょう。
☆場合によっては問題視されるケース
【(増加する)売掛金】
売掛金と売上高は連動しています。そのため、売上高が増えれば、売掛金も増えます。
このような状態であれば、売掛金の増加は何ら問題ありません。
問題なのは、売上高の増加よりも売掛金の増加が大きい場合です。
この場合、銀行は「会社の資金繰りが悪化している」と捉えます。
基本的に売掛金の回収サイクルは、長くても3ヵ月です。それが回収できていないのであれば、不良債権が発生していると疑われるのは当然です。
特別な事情があって、販売先からの回収が滞っているとしても、それは本当に回収できるのか?根拠のある説明が求められます。
さらに「利益が不足したため、架空の販売金を計上している」という粉飾決算を疑われる可能性があります。売上高に対して販売金が不自然に大きくなっていないか?もしもそうなっていた場合は理由を確認して、銀行に説明できるようにしておきましょう。
【(増加する)棚卸資産】
売掛金と同様、売上高が伸びれば在庫も増えます。売上高の伸び率に連動して棚卸資産が伸びていれば問題視されることはありあmせんが、そうでない場合、つまり売上高の伸び率よりも棚卸資産の金額が伸びている場合、銀行は2つの状況を想定します。
1つは、商品等の売れ残りが増加して、不良在庫が発生している。
もう1つは、利益確保のために在庫を水増ししている。
銀行は多くの企業の決算書を見ているため、同業他社と比べてその在庫の金額が平均的なものなのか、そうでないかはわかります。
過度に多い場合は不良在庫であるか、時価よりも高い金額を計上しているとみなし、資産価値を低く評価します。
何か特別な事情があって棚卸資産が増加してしまった場合は、銀行側に説明しましょう。
いずれにしても、余分な在庫を持たないように気をつけましょう。
【開発費】
開発費とは、新市場を開発するための市場調査費、企画調査費、広告宣伝費、コンサルタント料など、未来の売上につなげるために投入した資金のことです。
支出時は「売上原価または販売費および一般管理費」として処理されますが、開発費として繰延資産にも計上できます。しかし開発費として計上できる範囲が曖昧であり、その曖昧さを利用して、費用で計上すべきものを開発費として計上することで、当時の利益を増やしたように見せかけることができます。
会計上は資産に分類されていますが、実際は「費用」であり、資産としても価値はありません。
黒字確保のために計上しているのでは?と疑われる可能性が高いため、説得力のある説明ができなければ、計上しない方が賢明でしょう。