「助成金ビジネス」にダマされない!!
資金調達の方法として、助成金・補助金の活用を勧める本やウェブサイトは沢山あります。
また「助成金による資金調達なら、経験豊富な当社へお任せください!」と看板を掲げている社労士・税理士も沢山みかけます。
そうした人々が助成金・補助金の活用を勧める理由が、やはり「返済義務がないこと」です。
・金融機関から融資を受けると、月々の返済が大変になる。
・多額の利子がついて、借りた以上のお金を返さなければいけないため、損をする。
・経営がうまくいかずに赤字になっても返済は続けなければいけないため、従業員を解雇したり、資産を売却したりして、どんどん資金繰りが苦しくなる。
・最悪の場合、自らの生命保険金で借金を支払うために社長が自殺する。
「借金」「返済」という言葉には、とにかくマイナスのイメージがつきまといます。
だからこそ「返さなくてもいいお金」に対して、とにかく夢のような話をしたがります。
(例)『たとえば300万円の助成金が受給できたとします。この300万円を得るためには、それなりの時間や労力が必要です。しかし、原価は一切かかっていません。つまり『利益率は100%の売上利益を得た」ことになるのです。もしもあなたの会社の利益率が40%だったら、300万円の利益率を得るためには、750万円の売上が必要になります。つまり300万円の助成金を得ることは、750万円の売上を得たことと同じなのです。同様に、会社の利益率が30%なら、売上1000万円相当、会社の利益率が20%なら、売上1500万円相当にあたります。1500万円相当の売上を、ノーリスクで得る。こんな「オイシイ話」はありませんよね。』
いかがですか?具体的な数字で説明されると、納得してしましますよね。
しかしこのような内容で助成金や補助金の申請を勧める人を信用してはいけません。
それらの人は、助成金や補助金の本質をまったく理解していません。『タダでもらえるお得なお金』としかとらえていません。
『コスト0円』『ノーリスク』も大きな間違いです。
補助金や助成金の申請を、事業主が独力で行うのは困難です。補助金の申請なら他社に負けない事業計画書・収支計画書の作成と効果的なプレゼンテーションが必要であり、雇用関係の助成金の申請には、社員のスキルアップを実現する教育プログラムの作成や、育休を取りやすくするための就業規則の改定などが必要です。
それらは会計や労務の素人が作成できるものではありません。仮に作成しても時間がかかる上に通りにくいでしょう。
もしも申請が通って補助事業・助成事業として認定されたとしても、計画通りに事業や教育を進めることができければ、受給予定の金額が削減されてしまいます。
また、助成金や補助金はすべての要件を満たすことで受給資格を認められるものです。後から要件の一部を満たしていないことが判明した場合は失格となり、1円も受給できなくなります。さらに「故意に要件を満たさなかった」と判断されれば、その後数年間は申請できなくなるというペナルティーを食らってしまいます。故意であれ、うっかりミスであれ、そうした「落とし穴」はたくさんあります。
だからこそ、経営革新等支援機関や、税理士、社労士など専門の力が必要なのです。そして専門の力を借りる以上、コスト0円はあり得ません。
お金のために経営しているの?お金は大事ですが…
しつこいようですが、助成金や補助金の価値は「売上」や「利益」という観点からは推し量れないものです。たとえば社員教員によってスキルアップした従業員が、5年後に1億円や2億円の契約を取る凄腕の営業マンになれば、その効果は絶大であると言えます。しかし教育プログラムを受けた後すぐに退職してしまったら、その社員にかけた分の労力と費用がマイナスになります。起業のため、もしくは起業後に安定して会社運営を続けていくためには、資金調達は欠かせません。しかし「お金を集めること」ばかりに目が行くと、ありもしない「ウマイ話」に飛びついてしまう恐れがありあます。「自分は何のために経営しているのか?」を改めて思い出してください。そして資金調達を行う際は、必ず信頼できる専門家に相談をしながら進めていきましょう。